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『ナッシュビル』 レビュー(感想)と考察

ナッシュビル

ポスター画像出典:『Yahoo!映画

 

この映画は、アメリカン・ニューシネマの代表作の一つ『ロンググッドバイ』の主演、アルトマンの最高傑作の一つとして知られている。・・ようだ。様々なスターたちが多数出演し、それぞれがそれぞれの舞台で物語を紡いでいき、最後に彼ら全員が同じ場所に集合する。この映画も、他の同時代に出て高評価されているという映画同様、『当時の人々』にしか響かないのではないだろうか。少なくとも私には何を見せられているのか、チンプンカンプンだった。

 

私が映画鑑賞に対して主体性が低い時期に見ているならわかるが、そうではなく、たくさんの本を読んで宗教や心理学や哲学、神話や歴史を学び、映画鑑賞を真剣にやるようになっても、映画館に13年間毎週連続で、一人で鑑賞するくらいの私であっても、この映画の良さが分からない。

 

だとすれば、そういう映画の共通点は、『その時代を生きる人達だけに響けばいい』という、時代に大きく影響された映画なのではないだろうか。普遍的で不変的なテーマではなく、例えばこのあたりの時代で言えばケネディ大統領という国のトップが暗殺され、弟のロバートケネディも暗殺され、マルコムX、キング牧師、メドガーエヴァースという黒人指導者も暗殺されたわけだ。またベトナム戦争はどうだ。アメリカン・ニューシネマの流れはどうだ。

 

ヒッピー文化は。ドラッグは。ニクソン政治は。当時流行の音楽やファッションは。そういった当時の生の感覚を知らない私には分からない、『リアルタイムの映画』なのではないだろうか。ポスターがお洒落だから楽しみにしていたので前のめりに見たはずが、あまり刺さらない。それであればと、そういう推論をするのである。