『涙するまで生きる』
ポスター画像出典:『映画.com』
ノーベル文学賞作家アルベール・カミュの短編小説を映画化。しかし主演のヴィゴモーテンセンは何か国語喋るんだという。『アラトリステ』ではスペイン語、今回でフランス語だ。舞台は1954年のアルジェリア。『アルジェの戦い』としても有名なアルジェリア独立戦争が起きたとき、その渦中で生きる非戦闘員はどのように葛藤したか。
これは私の個人的な感想だが、戦争映画というのはそれから何十年も経ってから映画化するよりも、渦中に映画化してしまう方が人々の注目を集めるということだ。それは映画だけじゃなく、SNSを通したりして、世界の人々の心の動きなどを観ているとつくづくそう感じるのである。例えば渋谷駅にあるハチ公だが、今あの犬の物語を知っている人が渋谷で遊ぶ人の中にどれだけいるだろうか。
そういう『心そこにあらず』感が昔の戦争の話だとどうしても漂う。だが、例えば2020年現在で考えると、記憶に新しいISISの話などは非常に臨場感あふれる様子としてこちらに伝わってくる。だから、古い戦争の映画を、それを知らない時代の人間が見て正当に評価することは難しく、豊かな想像力を必要とするのではないだろうか『アルジェの戦い』は臨場感がすごかったので、それとセットで観れば奥行きが深くなるが、これ一本だけだと実態がつかめない人も大勢いるはずだ。