『ザ・ヘラクレス』
ポスター画像出典:『映画.com』
『ヘラクレス』
『インモータルズ -神々の戦い-』、『タイタンの戦い』などと同様、古代ギリシャのギリシャ神話をモデルとした映画。その中でも、ギリシア神話に登場する多くの半神半人の英雄の中でも最大の存在である。タイタンの戦いの主人公はペルセウスだが、ヘラクレスはその子孫である。そのように、ギリシャ神話の旅として、併せて観るのも面白いだろう。
『ザ・ヘラクレス』
ドウェインジョンソンが演じた『ヘラクレス』も観たが、世界の神話にスポットライトを当てた映画としてヘラクレスはとても重要な位置にいるので、色々な角度から見ても損はない。それが鑑賞理由だ。実際、前者の方は『実際には凡人』という描写だが、今回の場合は更に神話的に展開されていく。しかし人間として心がエグられる深刻なシーンも多々あり、人間としての葛藤が描かれるため、半神半人の英雄の中でも最大の存在であるヘラクレスの描写としては、相応に見えるだろう。
この映画で描かれるヘラクレスと、ブラッドピットの『トロイ』で描かれるアキレウスは、その二人を祖に持つとされるアレキサンダー大王へと繋がる。ではこの世界の覇権の推移を見てみよう。
ヨーロッパの覇権の推移
『帝国』とは、異国を支配下に置いていき拡大していく集合体で、世界初の抵抗は現在イラク地方であるアッシリアだった。だが、初めて世界規模の広大な帝国を作ったのがアレキサンダー大王である。その後、アレキサンダーによってエジプトにアレクサンドロスが紀元前332年に建設された。アレクサンドロスの死後は、その部下だったプトレマイオス1世がエジプトを支配し、古代エジプト最後の王朝であるプトレマイオス朝の首都として発展した。そのプトレマイオス朝最後のファラオ(女王)があのクレオパトラである。
そしてクレオパトラは次の世界の支配者ローマの中心人物、カエサルとマルクス・アントニウスと関係を持つ。そしてカエサルが死に、クレオパトラらも死ぬと、アウグストゥスがローマを継ぎ、『ローマ帝国(帝政ローマ)』が誕生するのである。
もちろんヘラクレスやアキレウス、ゼウスなどはすべてギリシャ神話の人物だが、そうした神話の神の子孫として権力を持ち、この世界の形に大きく影響を与え続けた歴代の偉人たちの歴史を考えると、彼らの話を知る時間というのは有益なのだ。
面白いのが、この紀元前1200年というのは、『エクソダス神と王』でモーセとラムセス2世が描かれる時代とほぼ同時代ということである。エジプトにもエジプト神話があり、その中からユダヤ教という新しい神話・宗教が誕生したが、ラムセス2世は実在した可能性が極めて高く、そこで行われて映画でも描かれる、世界初の公式な戦争『カデシュの戦い(1286年頃)』も実在したことから、神話と現実が混ざり合っているということだ。