『ジャイアンツ』
ポスター画像出典:『Amazon』
ジェームズ・ディーンとエリザベステイラーの共演というだけで極めて価値の高い映画である。ジェームズディーンは24歳という若さでこの映画公開の一年前に死去しているが、どのみちこの若さでこのような演技ができるということは、控えめにいって凄い。彼のほかの映画も観たが、その映画で役を使い分けている印象を受ける。木村拓哉が『全部キムタク』と揶揄されがちだが、その考え方で言うと『全部ジェームズディーン』にはならない。
その傾向はオードリー・ヘプバーンにも見られることだ。エリザベステイラーの話にしたいところだが、まだヘップバーンほど映画を観ていないので分からない。とにかくレジェンド級の俳優たちはその容姿だけではなく、実力も兼ね備えていた。
デビュー作『エデンの東』の著者であるジョン・スタインベックは「気難しい性格で、反抗的かつ感情的でありながら同時に冷静な一面も持ち合わせており、シニカルで傷つきやすい」と彼を表現したという。それは見事に彼がカメレオン俳優であることを裏付ける話だ。
映画の話に戻ろう。2005年に「文化的・歴史的・芸術的にきわめて高い価値を持つ」とみなされ、アメリカ国立フィルム登録簿に登録される。また、女性の自立の問題や人種問題など、21世紀になった現在でも直面している問題に対して、先駆的な問題意識を観客に届けている。
映画監督のマーティン・スコセッシは、1978年時点で本作を40回以上見るなど大きな影響を受けた。荒野だったテキサスの土地と共に成長していった野心あるアメリカ人は、ある種アメリカ人すべての心に突き刺さる。アメリカ人自体が、アメリカ大陸に移住してきた民族だからだ。そこで一からやらなければならなかった。インディアンを迫害するなどの闇を抱えるが、それとはほぼ無縁の今の世代も、心底では彼らや『西部開拓史』のようなアメリカ人の生き方が、気になってしまうのである。