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『彼女が目覚めるその日まで』 レビュー(感想)と考察

『彼女が目覚めるその日まで』

ポスター画像出典:『Amazon

 

 

エル・ファニングの映画の感想で、クロエ・グレース・モレッツとこの二人は難しい役どころに色々挑戦していると書いたのだが、今回はクロエのケースで、そのパターンだ。本作はスザンナ・キャハラン(英語版)が2012年に上梓した自叙伝『脳に棲む魔物』を原作としている。これは当初、エルファニングの姉であるダコタファニングが起用される予定だったという。この3人は恐らく仲がいい。ほとんど年代も同じである。

 

「脳に棲む魔物」というのは分かりづらいが、日本でも芸人のプラスマイナス岩橋さんが、同じような表現をしている。そういう病気を持ち、そういう表現をテレビでしたのは初めてではないだろうか。それを明るく話すから笑いになっているが、本人からすると世界共通で『魔物』や『悪魔』と表現してしまうほど、恐ろしいものなのだろう。

 

3d medical background with brain highlighted

 

私の叔父は統合失調症だったから他人事ではない。子供のころは、後ろで何か話したと思ったから振り返ると独り言で、顔が『この世』に存在していなかったりした。怖かったが、それ以上に優しい人間だったので、それが恐怖を上回っていた。彼の場合、そうした子供の目線によって我に気づき、症状が収まったり、あるいは自分の部屋に行ってそれを隠したり、ということがよくあった。

 

この彼女ほど苦しんでいる様子が見られなかったが彼女は統合失調症ではなく『抗NMDA受容体抗体脳炎』という病気だ。難しい病気だし、難しい役だが、実話というところから、こういう映画の価値は高いと判断できる。