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『仮面の男』 レビュー(感想)と考察

仮面の男

ポスター画像出典:『Yahoo!映画

 

アレクサンドル・デュマの『ダルタニャン物語』をベースに作られた、『三銃士』のその後の話である。三銃士と言えば、ダルタニアンと共にルイ13世と戦ったフランスの騎士たちだが、これはその息子のルイ14世の話だ。この話は実によくできている。私は歴史を学んだ時、ルイ14世にある二つの顔に疑問を覚えていた。『太陽王』と呼ばれ、歴代最高の名君とさえ中国の皇帝も見習ったルイ14世は、ヴェルサイユ宮殿を建てたとき、お金が余っているわけではなかった。

 

そしてその後ルイ16世とマリー・アントワネットの時に『フランス革命』が起きる。それは、皇族だけが贅沢をし、貴族や聖職者は課税を免れ、第三市民と言われた一般庶民だけにしわ寄せが来たことが原因で起きた、必然的な革命だった。そして彼らはギロチンで処刑された。一国の王と王妃の残酷な最期に、世界中が震撼したのである。では、フランス革命というのはルイ16世とマリー・アントワネットの浪費と散財が原因なのだろうか。そう考えたとき、私がすぐに思いついたのがルイ14世の時代にあったヴェルサイユ宮殿の強引な建築である。

 

 

かつて、ムガル帝国5代目皇帝のシャー・ジャハーンは、愛妃ムムターズ・マハルの墓として、『タージ・マハル』を作った。その建築には18年とか22年の歳月が使われた。ルイ14世は、彼とほとんど同時代を生きた王であり、晩年は奢侈(しゃし)や戦費がかさんで国庫は激減し、衰退していった。ここにあるのは、王族の特権の乱用の気配である。そう考えたとき、ルイ14世というのは一体どういう人物だったのか。そういう疑問が頭をよぎるわけである。

 

 

そんな時、この映画で想像された通りのシナリオを当てはめた場合、見事につじつまが合うのである。しかも、『鉄仮面の男』というのは実際に存在していて、この映画のようにフランスのバスティーユ牢獄に収監されていた。当時フランスにあった様々な逸話や伝説を交じり合わせながらこの映画を鑑賞した時、この映画のタイトルが『鉄仮面の男』ではなく『仮面の男』ということであることさえも深い意味があるのだという妄想に浸ることができ、感心するのである。

 

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