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『ダークナイトシリーズ』 レビュー(感想)と考察

ダークナイト

ポスター画像出典:『GYAO!

 

ダークナイトシリーズの順番

ダークナイトシリーズの順番は、

 

  1. 『バットマン・ビギンズ』(2005年)
  2. 『ダークナイト』(2008年)
  3. 『ダークナイト・ライジング』(2012年)

 

となる。その前に出ているバットマンシリーズの映画は以下の通りである。

 

  1. 『バットマン』(1989年)
  2. 『バットマン リターンズ』(1992年)
  3. 『バットマン フォーエヴァー』(1995年)
  4. 『バットマン & ロビン Mr.フリーズの逆襲』(1997年)
  5. 『Batman Triumphant』(1999年)

 

Triumphant

トライアンファント。意味は『勝利』。

 

特にこのようなシリーズの名前がついているわけではないが、『ダークナイト』の飛躍的なカリスマ性の影響で、『ダークナイトシリーズ』と呼ばれることが多い。また実際にこの三部作は『クリストファー・ノーランの三部作『ダークナイト トリロジー』』としてまとめられている。これも二作目であるダークナイトの名前を使うということは、一作目が不評であれば打ち切りになることを考えても、記録的なヒットをしたダークナイトという名前のインパクトの大きさを表していると言える。

 

trilogy

トリロジー。意味は『三部作』。

 

 

またスーパーマンやワンダーウーマンなどが登場する『ジャスティスリーグシリーズ』としてのバットマンは、

 

  1. 『マンオブスティール』(2013年)
  2. 『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016年)
  3. 『スーサイドスクワッド』(2016年)
  4. 『ワンダーウーマン』(2017年)
  5. 『ジャスティスリーグ』(2017年)
  6. 『アクアマン』(2018年)

 

と続くが、もちろんダークナイトシリーズとは違うものである。これは『DCエクステンデッド・ユニバース』と名がついていて、DCコミックスを原作とするメディア・フランチャイズであり、『マン・オブ・スティール』を皮切りに、同一の世界観のもとでDCコミックス原作の実写映画作品を複数展開している。つまり、まず原作のバットマンがあり、その利権を複数の方向に売っている為、その多方向から様々な形でこのコンテンツが演出・展開されているというわけだ。

 

その他にもアニメ版があったり色々な角度から描かれているが、元々コミックスが原作なのでそれが普通である。また、コロナで延期になり、『テネット』にも出演したロバート・パティンソンが主演の『ザ・バットマン』(The Batman)と言えば、『バットマン』を原作として製作陣を変更、設定をリニューアルしたリメイク作品。2004年から2008年にかけてアメリカで放送されたテレビアニメシリーズだが・・映画の場合はそのテレビアニメとは無関係のものである。これはまた独自の路線で描かれるバットマンのようだ。

 

 

各シリーズのヴィランや登場キャラ

さて、このバットマンシリーズの第5作目にあたる『Batman Triumphant』は、第4作目の酷評によって製作されることがないまま終わった幻の作品である。ここでは『ダークナイト』にヴィラン(敵役)として登場した『スケアクロウ』が登場する予定で、その攻撃の幻覚の中で『ジョーカー』が再登場し、更に『ハーレイクイン』も出てくる予定だったという。

 

バットマンシリーズの詳細

作品 ヴィランや登場キャラ
バットマン ジョーカー
バットマンリターンズ ペンギン、キャットウーマン
バットマン フォーエヴァー トゥーフェイス、リドラー、ロビン
バットマン & ロビン Mr.フリーズの逆襲 ミスターフリーズ、ポイズンアイビー、ベイン、バットガール
Batman Triumphant スケアクロウ、ハーレイクイン、ジョーカー(予定だった)

 

ダークナイトシリーズの詳細

作品 ヴィランや登場キャラ
バットマンビギンズ ラーズアルグール、スケアクロウ
ダークナイト ジョーカー、トゥーフェイス
ダークナイトライジング キャットウーマン、ロビン、ベイン

 

『バットマン4(バットマン & ロビン Mr.フリーズの逆襲)』は、史上最悪のスーパーヒーロー映画のひとつとして挙げられているようだが、私は別にこの作品にだけ『クソ作品』という印象は得なかった。ユマサーマンのポイズンアイビーがセクシーだし、シュワちゃんとジョージクルーニーの共演が豪華。3までの流れも受け継いでいるし、その流れのまま普通に楽しめた。

 

しかし『ダークナイトトリロジー』はこれらとは一線を画すものであり、芸術作品に近い領域にある。事実、監督のクリストファーノーランは『メメント』やその他の映画で芸術的な作品、つまり『現実を違った角度で描写する』作品作りをする特徴があり、その思想がこの作品の格式を引き上げることに成功している。

 

ダークナイト。それは、闇の騎士である。バットマンだ。バットマンの異名が、ダークナイトなのである。だが、ジョーカーはどうだろうか。なぜ彼には圧倒的なカリスマ性があるのだろうか。それは、彼もまた、孤高の男の一人だからなのかもしれない。節々で鳴らされる闇の夜空に響き渡る雷鳴のような壮大なBGMが、この作品に厳かな気配を演出する。鳥肌が立つようなBGMは、そう多くはない。

 

それは、監督のクリストファーノーランが温故知新的な発想で自国の資産に違った角度からスポットライトを当てた結果だ。つまり、我々日本人に『ジャパニーズアニメ』があり、スタジオジブリ作品を筆頭とした資産があるように、アメリカにはアメリカンコミックスという唯一無二の資産がある。その『眠っていた伝家の宝刀』をノーランという凄腕の剣豪が手にしたことで、我々はこの作品が本来持っている秀逸な世界観を存分に味わうことができるようになったのだ。それまでのバットマンシリーズはあくまでも『アニメを実写化したもの』だったが、ダークナイトシリーズは世界規格のエンターテインメントになった。

 

もちろんそこには役に対して妥協を許さないクリスチャンベールや、脇を固めるモーガン・フリーマンら数々の名優、そして28歳の若さで世を去ったジョーカー役のヒースレジャーの怪演が、大きく関わっている。