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『アメイジング・グレイス』 レビュー(感想)と考察

アメイジング・グレイス

ポスター画像出典:『映画.com

 

誰もが聞いたことがあるはずの名曲、『アメイジンググレイス』。実は、あの歌がこの世に生まれた背景にあったのは、人類が刻んだ哀しい黒歴史だった。その尾は今も尚引いてしまっていて、この世界の悪しき因子として世界中に散りばめられている。黒人に対する奴隷制度問題である。

 

イギリスの政治家、ウィリアム・ウィルバーフォースは、ヴィクトリア女王よりも優れた偉人かもしれない。ヴィクトリア女王は、大英帝国のトップに君臨し、その恩恵を食事から側近の世話まで、甘んじて受け入れた。だが、その豪華で贅沢な暮らしの元になっているのは、奴隷制度で『所有』する奴隷の労働力と、世界各地にある植民地なのである。

 

しかし、確かに難しい選択肢がちらつく。『イギリスがやめてもフランスが横取りするだけだ!』それはその通りだっただろう。奴隷制度、帝国主義の渦中にあって、ウィルバーフォースとピットが立ち向かうために燃やした正義の炎は、この世界に永遠に残る、勇気の炎である。きっとあなたは、映画の最後に流れる『アメイジンググレイス』を観て、背筋を伸ばすことになるだろう。