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『ザ・メッセージ』 レビュー(感想)と考察

『ザ・メッセージ』

ポスター画像出典:『Amazon.co.jp

 

時は610年。570年に生まれたムハンマドは、40歳という年齢になっていた。しかし、イスラム教最大の聖地であるメッカ(サウジアラビア)にはその時、健康の神『アルウザ』、繁栄の神『マナト』、部族の守護神『アラト』、隊商の運命を握る神『ハラト』など360の神々がいて、供え物を神官たちが着服している不誠実な現状が広がっていた。慣習は腐敗し、神々は崇拝の対象で『財源』だというのである。

 

ムハンマドは、『ノア→モーセ→キリスト→』の次にこの世に生まれた、最後の預言者であり、指導者だという考え方は、イスラム教の考え方である。そして、これはそのイスラム教が誕生した時の話だ。キリスト教の有名な映画に『パッション』があるなら、イスラム教にはこの映画がある。

 

奴隷を救い、黒人を差別せず、女性子供、老人、働く者には一切手を出さず、あくまでも正当防衛になるのであれば、反撃を認めたムハンマド。聖戦(ジ・ハード)の考え方を悪用する人間は過激だが、では私の目の前で最愛の人が殺されそうになっているとき、『赦し』でもってその場面を解決しようとするなら、私は人間失格である。真理はいつも正しい。だが、人間は間違えるということだ。彼自身は決して、好戦的な人間ではなかった。