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『奇跡のひと マリーとマルグリット』 レビュー(感想)と考察

『奇跡のひと マリーとマルグリット』

ポスター画像出典:『映画.com

 

『奇跡の人』というタイトルで、全く同じ境遇で人生を生きたあのヘレン・ケラーの映画がある。ヘレン・ケラーの場合はアメリカで、マリーの場合はフランスだ。マルグレットというシスターが自分の命を削りながら、目と耳が不自由な少女マリーの人生と向き合う。その演技はとてもリアルだ。人は往々にして、人からなんと言われるか、どう見られるかということを意識して生きるもので、お洒落、言い回し、しぐさ、マナー等は、そこに相手がいることが前提で行われることである。

 

しかし、耳と目が不自由なら、口で何かをしゃべっても自分でその声を聞くことができない。だから実際には口も聞けないのに等しい。すると、そこにいるのはもはや『人間らしさ』とはかけ離れた、動物同然の生き物である。しかし、もちろんそういう風に言ってはいけない。同じ人間だからだ。これが本当に難しい。果たして、孤独な世界で生きる彼女とどうやって意思疎通をし、絆を作り、人生に喜びを見出してもらえるだろうか。

 

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