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『八甲田山』 レビュー(感想)と考察

八甲田山

ポスター画像出典:『映画.com

 

 

1900年、当時、青森にある八甲田山で山岳修行をすることは、日露戦争の為に欠かせない要因だと考えられた。かつて、世界を獲ったと称されるナポレオンは、イギリスのウェリントン、ネルソンの2人に加え、もう一人勝てなかった相手がいるが、それがロシアのアレクサンドル1世である。彼は、ナポレオンのモスクワ遠征の時、地の利を生かそうとしてわざと少しずつ敗北しながら、フランス軍をロシア内部におびき寄せる。そして冬を待ち、環境に適応できず弱体化したフランス軍を倒したのだ。実にナポレオン軍は、戦死と凍傷で61万もいた兵士が5千人に激減してしまったという。

 

ロシアは寒さに強い。したがって、日本もそのロシアと戦うためには、当時で考えられる日本最大の極寒の地である八甲田山を体験する必要があったのだ。小便をすると凍り付き、歩くたびに人の足音が少なくなるその過酷な登山で、一体どれほどの人間が生き残ったのか。そして、その生き残った彼らは、日露戦争でどれだけの活躍をしたのか。210名中199名が遭難した事件(八甲田雪中行軍遭難事件)を基に作られた、高倉健の名作の一つである。