F1レーサーのジェームス・ハントとニキ・ラウダの、1976年のF1世界選手権での一コマだ。『フォードVSフェラーリ』という映画があるが、さしずめこれは『フェラーリVSマクラーレン』である。だがこの映画の場合はそれよりもずっとドライバーの人間性に焦点を当てている。野性的な前者に、コンピュータのように論理的な後者。彼らはまるで、水と油だった。
今日のレースで、人生が終わるかもしれない。レースの前にプレッシャーから嘔吐するのは当然の世界の中で、命を削って男のプライドがぶつかり合う。今日は前者が勝ち、明日は後者が勝つ。忌み嫌い反発していたはずの彼らは、次第に心底で互いの存在に敬意を払うようになっていった。だが、これはレース(勝負)だ。どちらかが負けなければならない。
さて、このレース(人生)に勝ったのは一体どちらなのか。そして本当に勝者はいるのか。