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『アラバマ物語』 レビュー(感想)と考察

アラバマ物語

ポスター画像出典:『ウィキペディア(Wikipedia)

 

戦前の米国映画は、「ボーイ・ミーツ・ガール」という典型的な法則に支配されていたという。つまり、一人の青年が一人の少女に会い、恋に落ちる。そこへごたごたが起きて二人の仲はピンチになるが、その危機は克服され、二人はめでたく結ばれる。というハッピーエンドである。

 

1950、1960年と時代をつないで積み重ね、この映画は1962年に上映された。だからかは分からないが、やはりこれより一昔前の時代の名作映画と比べると、物語に深みがあり、切り取る角度に違いがある。アラバマ州とは、ミシシッピの隣である。つまり南部だ。アメリカ南部と聞いてすぐに思い出すのはなんだ。そう。黒人差別である。差別映画は多いが、古い映画ほど当時の記憶が生々しく反映されている。

 

だが、それと同時にこの映画の主役は子供たちである。だからこそ、単なる差別問題を提起する映画に留まらない。この映画はどこか哀愁漂う、『アラバマ物語』なのである。