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『リベリオン』 レビュー(感想)と考察

リベリオン

 

この映画がどれだけ貴重な素材かというのは、哲学や宗教、偉人らをまとめた姉妹サイトの集大成記事を読まなければ理解できない。斬新で爽快なアクションだけ楽しんでもいい。だが、それよりも重要なのがこの筋書きである。人間を強力な『外圧』で統制していくことで世界平和をもたらす。それが人間として本当に正しい姿なのか、そして違うのであれば、どうすればいいのか。おそらく、遠い未来でこの筋書きについて熟考しなければならない時が来るだろう。

 

私は本一冊分ほどの文字数である記事を書いたのだが、それは 『人間の最終到達地点』 というテーマだ。歴史を宇宙創造から学び直し、徐々に人間が進歩してきたことを見た。だが、いつまでも変わらないのものもある。人間は恒久的に未熟な存在なのである。

 

世界史、日本史にて何度も見てきたが、世界初の帝国が誕生したアッシリアの時代から、現代にかけての世界の覇権の推移を見てみよう。

 

ヨーロッパの覇権の推移

STEP.1
アッシリア
紀元前7世紀の前半~紀元前609年。オリエントの統一王朝を成し遂げるが、アッシュル・バニパルの残虐性のせいで帝国が破綻する。
STEP.2
アケメネス朝ペルシャ
紀元前525年~紀元前330年。キュロス、カンビュセス2世、ダレイオス1世また統一し直し、インド北西部からギリシャの北東にまで勢力を伸ばす。
STEP.3
アルゲアス朝マケドニア王国
紀元前330~紀元前148年。フィリッポス2世がギリシャを、アレクサンドロスがペルシャを制圧。
STEP.4
ローマ帝国
紀元前27年~1453年5月29日(完全な崩壊)。カエサルが攻め、アウグストゥスが守る形で『ローマ帝国』が成立。
STEP.5
モンゴル帝国
1200~1300年。チンギス・ハンが大モンゴルの皇帝となり、5代目フビライ・ハンの時にはアレクサンドロスよりも領土を拡大。
STEP.6
オスマン帝国
1453年5月29日~。かつてのローマ帝国は、『神聖ローマ帝国』と『ビザンツ帝国』の東西分裂をしていて弱体化していた。1453年5月29日、メフメト2世がビザンツ帝国の首都コンスタンティノープルを征服。
STEP.7
スペイン帝国
1571年、スペインは『レパントの海戦』であのビザンツ帝国を滅ぼしたオスマン帝国を破り、地中海の制海権を奪取(正確にはまだオスマン帝国に制海権があった)。更に、『ポルトガルの併合(1580年)』で『スペイン帝国』は最盛期を迎える。
STEP.8
オランダ
1588年、『オランダ独立戦争』、『アルマダの海戦』に勝ったオランダは、急速な経済成長を遂げ、アムステルダムは世界の貿易・金融の中心地となり、スペインに代わって世界貿易をリードする『栄光の17世紀』を迎える。
STEP.9
イギリス
1677年、1651年から続いた『英蘭戦争』の結果、覇権がオランダからイギリスに渡る。

 

そしてこの後だ。規模もヨーロッパから『世界』へと変え、まとめ方は『世界で強い勢力を持った国』とする。

 

17世紀のイギリス以降世界で強い勢力を持った国

STEP.1
フランス
1800年前後。ナポレオンがヨーロッパで暴れまわるが、イギリス・オランダ・プロイセンの連合軍に敗れ退位。
STEP.2
イギリス
1830~1900年頃。ヴィクトリア女王の時代に『大英帝国』黄金期を迎える(パクス・ブリタニカ)。
STEP.3
ドイツ帝国
1870年頃~1918年。ドイツ帝国率いる『三国同盟』とロシア率いる『三国協商』の『第一次世界大戦』が勃発。
STEP.4
三国協商
1918~1938年頃。ナチス・ドイツが現れる前はまだこの連合国が力を持っていた。
STEP.5
連合軍
1945年~。特にアメリカ・ソ連。『第二次世界大戦』に勝った連合国は、引き続き国際的な力を保持。
STEP.6
アメリカ
1990年頃~。ソ連が崩壊し、アメリカ一強(パクス・アメリカーナ)の時代へ。

 

アッシリアからはじまり、ペルシャ、アレキサンダー大王のマケドニア、ローマ、モンゴル帝国と、この世界を『支配』する人が後を絶たなかった。当然『なぜ』そうしたのかもすべて学んだ。すべて頭に入って理解している。関連映画もほぼすべて見た。現在はアメリカがトップで、次に来るのは中国がロシアだと言われている。 だが、一向に世界平和が訪れない。それはブッダやキリストが息をした時から現在に至るまで、ずっとだ。

 

そこでまとめたのが以下の内容だ。

 

STEP.1
『人間』が誕生
STEP.2
『神話』が誕生
STEP.3
『宗教』が誕生
STEP.4
『哲学』が誕生
STEP.5
『法律』が誕生
STEP.6
『義務教育』が誕生
STEP.7
しかし『神話、宗教、哲学、法律、義務教育』だけでは秩序が保てなかった
STEP.8
人間の過剰増殖
STEP.9
より秩序が保てなくなる
STEP.10
人類滅亡の危機に瀕する
秩序が限界まで混沌に近づき、争いが絶えなくなって最後には大勢の人が死ぬ。
STEP.11
人間は大きな『パラダイム転換』を求められる
『神話、宗教、哲学、法律、義務教育』以外の強力なツールが必要だと思い知る。
STEP.12
全員が『ブッダ』になる道を避けて通れないと知る
人が増えるのはいいが、人が人として生きるためには必ず『ブッダになるための資格試験』を受ける、あるいは『人生の免許』を取る必要が出てくる。
STEP.13
より高次元の人間に生まれかわることにより、人類は自然淘汰から逃れる

 

MEMO

ここで言う『ブッダ』とは、仏教的な話ではなく、仏教の開祖のあの『ブッダ』と同レベルの精神を持った人間のこと。最低でも、『真理』が何かを『システム2』で熟考した人間のこと。

 

神話、宗教、哲学、法律、教育、という人為的な一切が生まれ、だが、この世は相も変わらず混沌としたままである。私がたどり着いたのは、 『全員がブッダになる』というものだ。私はもちろん無宗教である。意味は『熟考する人』だ。インサイドアウトとは『内から外へ』という意味。つまり、『自分の心が変われば自分の周りは変わっていく』と発想する。 その逆がアウトサイドインだ。『すべての鍵は外にある』という発想。当然、真理は前者である。それがブッダらすべての聖人がたどり着いた共通の答えだ。

 

人間全員が自主的に『熟考する人』になるのはほぼ不可能である。周りを見渡してもそんな人は1割いるかどうかだ。ほとんどすべての人が『認知の歪み』という言葉の意味すら理解しないで生きている。では逆に、この世界を『圧倒的な外圧で支配する』のはどうだろうか。この世界で何人もの帝国の支配者たちがやろうとしてきたように、この世界を外圧で支配するのだ。 そのイメージを教えてくれるのが『リベリオン』なのである。

 

この映画はほぼ全員がその圧倒的なアクションに目がいってしまうだろう。だが違う。この映画でイメージできるのは『圧倒的な外圧で支配する世の中』についてなのだ。自分の心を押し殺し、インサイドアウトを見出した聖人たちとは『真逆』のアウトサイドインの方向で生きる人間の末路。 それがこの映画で観ることができる。これは、ずば抜けた教材なのだ。