ぷにぷにしていて可愛らしい赤ちゃんのような存在の少女を、複雑な事情を抱えた様々な大人たちが、その抱えた事情に押しつぶされそうになりながらも、必死に守り抜こうとする。彼らは相当こじれた現実と向き合っていて、いつでも腐って破綻しそうなのに、なぜかそうならない。そこにはきっと、この少女の存在がある。
別に、少女が特別な存在というわけでもないのだ。ただ、純粋に少女として生きているだけ。ただそれだけなのである。その純粋さはきっと誰にもあったものだ。彼らにもあった。そう考えると、彼らは彼女を通して、自分の心底にあった『最も大切なもの』を観たのかもしれない。