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『遥かなる大地へ』 レビュー(感想)と考察

遥かなる大地へ

ポスター画像出典:『映画.com

 

 

この画像は、1889年4月22日にアメリカ合衆国政府が入植を解禁したオクラホマに白人が未開の土地を求め殺到した現象である。例えばペリー来航が1853年で、『ラストサムライ』の時代は1860年頃。その頃、世界はちょうど一体化が進み、各地で力のある人間が『お宝』を探しに躍起になった。この映画はオクラホマ州で実際に起こったランドラッシュをベースに、アイルランドから夢をもってアメリカにやって来てランドレースに参加した青年の生き様を描く物語だ。

 

このアメリカ大陸はその代表である。先住民が迫害され、追いやられ、そこに住み着いたイギリス人とフランス人がアメリカとカナダを作った。そんな歴史を知っていると、この作品の奥行きがより一層深く見えることだろう。全体としては、夢を追いかける純粋で無知な、愚かな若者のロマンチックな物語である。だが、見えない深層部にある歪んだ現実が、事実をよく知る鑑賞者の心を、一つ多めにかき混ぜる。