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『ニクソン』 レビュー(感想)と考察

ニクソン

ポスター画像出典:『映画.com

 

リチャード・ニクソン。彼ほどアメリカ史を騒がせた大統領はいない。確かにブッシュJr.は唯一パレードで卵を投げつけられた男だが、彼が『ポンコツ』ならこの男に相応しい揶揄たる言葉は『悪質』である。ベトナム戦争、ウォーターゲート事件。同じ時代にちょうど起きた公民権運動といった黒人差別の問題も、彼とは無縁ではないだろう。その意味で、確かにこの映画の主演を務めるのはアンソニー・ホプキンズしかいない。彼ほどの威厳ある俳優でなければバランスが取れない。それほど彼がしでかしたことというのは致命的なのである。

 

『大統領の陰謀』、『ザ・シークレットマン』、『J・エドガー』、『7月4日に生まれて』といった直接的に関係ある映画はもちろん、ベトナム戦争について悩んだ兵士たちの話を入れるなら、彼の時代に関する映画はあまりにも多い。アメリカ環境保護局(EPA)の設置、麻薬戦争を掲げた麻薬取締局 (DEA) の設置などの功績もあるが、全く色々な意味で、確かに映画のような人生を送った人間である。

 

また、調べると彼はあのウォルト・ディズニーなどから多くの支援を受けていたという事実が存在しているようだ。これは私の推論に過ぎないが、だとするとベトナム戦争を描いたキューブリックの名作『フルメタルジャケット』で、最後に兵士たちが不気味なまでに行進しながら歌う『ミッキーマウスマーチ』には、キューブリックによるニクソン政治への何らかのメッセージがあるのかもしれない。本人は『反戦映画ではない』と言っているらしいが。