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『ア・フュー・グッドメン』 レビュー(感想)と考察

ア・フュー・グッドメン

ポスター画像出典:『ソニーピクチャーズ

 

経験と想像力がこの話の奥行きを深くする。まず、軍隊というのは理不尽な存在である。それを知りたい場合は『華氏911』『ジャーヘッド』、『プラトーン』や『7月4日に生まれて』などの実話ベースのドキュメントや映画を観るといいだろう。多くの人がPTSDにかかる理由は、彼らの『職場』に仁義が存在しないからだ。人間の心は、真理から逸れれば逸れるほど虚無に近づく。例えば嘘をついたり、子供を殴ったりしたとき、どんなに最低な人間でも心底に心のうずきを感じる。善人なら心がかきむしられる。そうなっているのである。

 

だが、その『理不尽な部隊』が国を守っている現実がある。彼らが威嚇し、射殺し、斬殺することによって鎮圧し、抑止力が生まれて平和が保たれている現実もある。この裁判で戦う相手の親玉の言葉に妙な威厳があるのは、彼がそうした現実を知り尽くし、それを背負い、禍々しく歪んだその人為的に作られた別次元に棲む住人だからである。彼のセリフはアメリカ映画の名セリフベスト100において29位にランクインされている。

 

おまえに真実は分からん!

 

闇は正義のジャッジによって暴かれるだろう。だが、それは全容ではない。