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『コールド マウンテン』 レビュー(感想)と考察

コールド マウンテン

ポスター画像出典:『映画.com

 

南北戦争時代を切り取った映画はたくさんある。『グローリー』など直接戦場を描いた話もそうだし、『風と共に去りぬ』、『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』や、エミリー・ディキンソンの映画のように、戦場ではない場所でその時代を生きた人達の話もそうだ。それはもちろん南北戦争だけではない。アメリカ独立戦争の時もそうだし、先住民たちとのいざこざもそう。大恐慌時代もそう。なぜこのようにアメリカ映画がいくつかの大きなイベント周辺に集中しているかというと、シンプルにアメリカの歴史が浅いからである。まだ200年ちょっとしか経っていない。だから自然とその間に起きた大きなイベントを舞台にすることが多くなるのである。

 

だが、このコールドマウンテンはその中でもとても見応えがあり、私がもし人に南北戦争についての映画を勧めるなら、『グローリー』とこれを勧めたいぐらいだ。特に女性ならこっちの方が感情移入しやすいだろう。まだ愛し合ってもいない、しかし確かに愛し合った二人。戦争という非情な現実に抗うように、彼女たちの間にあった確かな想いは、『純愛』へと昇華したのだ。