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『もうひとりのシェイクスピア』 レビュー(感想)と考察

もうひとりのシェイクスピア

ポスター画像出典:『Yahoo!映画

 

この映画の冒頭には、中々信憑性の高そうな話が繰り広げられる。あの劇作家ウィリアム・シェイクスピアは『存在しなかった』というのだ。つまりこの映画は、彼の作品が別人によって書かれたとする「シェイクスピア別人説」のうち、第17代オックスフォード伯エドワード・ド・ヴィアを本当の作者とする説に基づいたフィクションである。例えば『匿名のタイガーマスク』が慈善活動をしたり、持ち主が分からない大金が見つかったり、世の中には不思議な現象が起きるものである。彼らはなぜ素性を明かさないのか。それはもちろん美学やポリシーなどという理由もあるだろう。だが、もしかしたらやむを得ない何らかの理由がある可能性もある。

 

それは『仮面の男』や『フロムヘル』で展開されるシナリオを見ても大きくうなづける話だ。例えば仮面の男は、フランスのバスティーユ牢獄に収監されていた「ベールで顔を覆った囚人」のことだ。彼がもし人前でマスクを取ろうとすれば、その場で殺害せよとの指示が出されていた。そのため、牢獄で世話をしていた者も囚人の素顔を知らなかった。一体なぜなのか。その伝説的逸話を考えれば、『仮面の男』のようなシナリオがあってもおかしくはないと感じるはずだ。

 

 

『フロムヘル』に登場する『切り裂きジャック』も同じことである。あの人類史上に残る奇妙な未解決事件の真犯人と真相は何だったのか。そこに残されたいくつもの証拠と当時の大英帝国の事情、あるいは貴族たちに禍々しく絡みついた傲岸不遜さとしがらみを考えれば、『フロムヘル』のようなシナリオがあってもおかしくはないと感じるはずだ。

 

 

では、シェイクスピアの場合はどうか。例えば、こういうストーリーがあったのかもしれない。

 

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