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『プールサイド・デイズ』 レビュー(感想)と考察

プールサイド・デイズ

ポスター画像出典:『GYAO!

 

この映画が好きと言っていた人に対し、常々

 

何か言ってることが浅いなあ

 

と思っていたのが事実だ。いや、年相応ならいいのだ。10代なら全然いい。だが、20代後半はまずい。そろそろ観るべき視点を変えなければならない年頃だから、教育的な意味でもそのことについて誰かが言わなければならないだろう。それが親か上司か、真の友達かは置いておいて。

 

さて本題に入ろう。実はこの映画の原題は『The way way back』。こういう言葉は存在しないので造語だ。Googleと同じである。これが『The way bak』なら『帰り道』となる。道(Way)が2つある。それが何を意味するだろうか。この映画で一番重要なところはここだ。要は、なぜ前者の話をしたかというと、実はその人はこの映画を『夏の楽しいひと時、思い出のひと時』のような言い方で説明していた。この時旬な俳優だったサム・ロックウェルの話もルンルンとしているところも気になった。

 

たしかに『プールサイド・デイズ』だとそういう印象になる。ある夏のプールサイドでの思い出。それは、受け取る側がまだ10代の人間なら、その方向に切り取ることも無理はないだろう。だが、『ある夏の思い出』というのは実はとても深いキーワードである。例えば、そういう作文が提出されたとき、そこには

 

  1. 提出する側=生徒
  2. 提出される側=教師

 

がいるわけだ。そうなると、生徒と教師は全く同じ視点でその作文を見るだろうか。それとも、教師は『その作文を通してその人物の成長の過程』を見るだろうか。夏にこういうことがあった。それはとても内容の濃い時間だった。生徒はそこまでかもしれない。だが教師はどうだろうか。

 

この夏が、君を一段階、大人へと近づけたんだね

 

そういう風な視点で生徒を見ないだろうか。そう考えた時、この映画の原題『The way way back』は、意味を持つようになる。帰り道。そこには2人の人間が肩を並べるシーンがあった。だから『Way』が2つなのだとしたら、これはこの主人公の少年だけの話ではない。とても深い、家族の絆の話なのである。