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『女王陛下のお気に入り』 レビュー(感想)と考察

女王陛下のお気に入り

ポスター画像出典:『映画.com

 

1702年4月23日 – 1707年4月30日の間イングランドの女王として君臨したのがこの『アン女王』だ。下に画像を載せるが、主演を務めたオリヴィア・コールマンが彼女にとてもよく似ているので、選ばれた理由がよくわかる。もちろんそれだけで映画の主演は決まらないだろう。演技力も含めた様々な努力の結果だ。しかしよく似ている。

 

 

イギリスの歴史としても貴重だ。この時英国はスペイン継承戦争でハプスブルク家(オーストリア)側に付き、フランス王国との戦争の渦中にあった。フランスの時の国王はルイ14世である。映画としては『仮面の男』の時代だ。ルイ13世の時代にはダルタニャンの『三銃士』が。しかし、人徳のあるルイ13世とは違って、同じく『太陽王』などと輝かしい評価を受けておりながら、実際には国費の散財など、目に余る浪費もあった。そこで展開されるのが『仮面の男』のようなワンシーンなのである。あのフランスの歴史的建造物『ヴェルサイユ宮殿』もこのルイ14世の時の『浪費の一つ』として作られたのだから、複雑な話である。

 

では、アン女王はどうか。この時代の世界の二大巨頭のもう一つのイングランドのトップは、病気だった。そして、あまりにも波乱に満ちた生活を送った。それだけで全ての女性は彼女に共感するだろう。いや彼女の場合、その『女性の共感』の範囲内にも収まらない、衝撃的な人生を送っていた。女王云々とは別のところでである。

 

それゆえ、ルイ14世と同じように、ある種の『歪み』が生じていた。一体、何が起きていたのだろうか。