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『ラリー・フリント』 レビュー(感想)と考察

ラリー・フリント

ポスター画像出典:『Amazon

 

ポルノ雑誌出版者・編集者のラリー・フリントの台頭と法廷闘争を描いた映画。『プレイボーイ』は有名だが、アメリカではもう一つ『ハスラー』というポルノ雑誌があった。この映画は中々興味深い内容となっている。とにかく正当な評価をするときは、くだらない常識に支配されないことだ。それはこの映画にも登場する『戦争で人が死ぬシーンと、ポルノシーン』などのキーワードでも考えさせられることになるだろう。あるいは、こうしたエロを完全に撤廃して規制すると、性犯罪が増えるという話もある。その真偽はともかく、この世界に完全に蔓延して人間を支配しているのがエロだ。

 

フロイトはそれに対して湧き出るエネルギーを『リビドー』と言った。フロイトの話は古いものが多いが、しかし確かに現実に現在進行形で通用するところもある。例えば、週刊誌の売り上げは、グラビアの写真がだれで、どういうものかということで変わるのだ。これが決定的な事実だ。それはyoutubeの再生回数においても同じことが言える。だから若い女性は安易な手段として自らの体を売り、それを稼いでいる。中堅youtuberの一人は、『胸を出さないと再生が伸びない』と断言している。

 

彼のような人間は毛嫌いされるだろう。常識はそういうものだ。世界には子供もいる。綺麗に生きたい人間が、汚いものに蓋をしたいのは当然。我々も便器からなるべく離れて、死体から目を反らして生きていきたい。それが人間が作り上げた常識だ。

 

しかし彼らのような人間がこの世界のニーズを確実に埋めていることもまた、確固たる事実である。そうした意味でも貴重。また、彼の生きた反乱に満ちた人生は、それだけで映画になる。