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『ジゴロ・イン・ニューヨーク』 レビュー(感想)と考察

ジゴロ・イン・ニューヨーク

ポスター画像出典:『映画.com

 

ウディ・アレンの映画というのは好き嫌いが分かれる。とりわけ、日本人との相性はあまりよくないのかもしれない。例えば経済紙や専門家のれっきとした本を読んでいると、さらっと内容に『日本人は離婚したら失敗者という烙印を押される。でもアメリカは違う。離婚したら次を考えればいいと考える』と出てくる。確かに、ドラッグ一つやっただけで日本はもう完全に冷たい目で見られることになる。だがそのたびにアメリカの生活を知っている人たちからすれば、

 

ちょっと厳しすぎじゃない?

 

という感想を抱くことになる。確かに、映画を観ていても母親がドラッグ中毒者というケースをよく見かけて、中にはそれで死んでしまったという話も出てくる。日本はそうした事態を未然に防ぐために予防線を張っているのであり、いささかどちらが正解とも断言できそうもない。自由を追求した結果が銃の所持や少量の麻薬の私的な使用だ。国民皆保険がないから医療費が未払いで自己破産になる確率は高くても、ギチギチに固められた人生を送るよりはいい。自己責任のリズムを得るためにも、そうした自由とその代償は必要だ。そういうアメリカ人の主張も、一刀両断はできない。

 

性についても考え方は違う。日本であまりジゴロが活躍している様子は見受けられない。例えば万人受けのテレビ番組にはそういう人はピックアップされない。出てきても誰かがそれを批判して出づらくし、表に出てくることはできない。

 

ただし、とある性器やED・あるいは性的な事実を調査した専門書には『日本人はSEXに対して満足度が低い』というデータが記載してある。そう考えると、我々『奥ゆかしい』日本人は我々なりに美徳を持ち、世界に誇る生き方をしているが、根底のところではウディ・アレンが描くようなテーマについて、興味津々なのかもしれない。