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『ザ・ハリケーン』 レビュー(感想)と考察

ザ・ハリケーン

ポスター画像出典:『映画.com

 

この映画の主人公ルービン・カーターは11歳のとき、白人男性の時計を盗んだとして、州の少年院に送られる。数年後、カーターは少年院を脱走し軍隊に入隊。これだけでも映画が一本できる。だが、彼が一味違うのは、そこから更に波乱に満ちた人生を送ったことだ。二度に渡りヨーロッパのライトウェルター級チャンピオンとなる。そしてリングネームを『ハリケーン』とし、ルービン・ハリケーン・カーターを名乗るようになった。

 

だが、やはり1960年代のアメリカ。黒人として生まれたハリケーンは、アメリカの根幹にあるその根深い黒人差別に苦しめられる。1966年6月17日、ルービン・カーターは、ニュージャージー州で3人の白人を銃で撃ち殺したとして逮捕された。これが『ルービン・カーター事件』である。だが、凶器もない。証言者も妙だ。しかし陪審員は全員が白人であり、時代の波も手伝ってカーターは有罪とされ、終身刑に服する事となった。

 

黒人の公民権運動家の代表格メドガー・エヴァースが暗殺されたのが1963年、マルコムXが暗殺されたのが1965年、キング牧師が暗殺されたのが1968年、60年代は影響力のある黒人たちがこぞって狙われ迫害された。ジョン・F・ケネディもその弟のロバート・ケネディも暗殺された。それが60年代のアメリカという国だ。

 

果たして、ハリケーンはこの理不尽な状況かつ、終身刑の絶体絶命となった窮地を乗り越えられるのだろうか。