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『シンデレラマン』 レビュー(感想)と考察

シンデレラマン

ポスター画像出典:『映画.com

 

大恐慌時代の1929~1935年に活躍したプロボクサー、ジェームス・J・ブラドックを描いた作品。正直に言って、私はあまり格闘技の映画は観ない。だからロッキーという名作ですら見るのに大分時間がかかった。その理由は、私が男だからである。結果私は、剣道とボクシングを経験した。もちろんロッキーも全部観たし、ランボーだってこのシンデレラマンだって観た。結果はもちろんそうだ。

 

だが、男というのはそう簡単な生き物ではない。私が向き合った世の8000の言葉の中で最も好きな言葉に、

『力に屈したら男に生まれた意味がねえだろう。俺は決して人生に悔いは残さない。』

 

というものがあるが、女性が『美』を常に求め続けるように、男にも常に求めるものがある。その魂から目を反らさず、常に愚直に磨き続ける人のことを、人は『硬派』だとか『男らしい』と言う。そう。感情移入しすぎるのだ。男として、煮えたぎる何かを抑えきれなくなる。それと同時に、老化によってその求めるべきものを求められなくなる決定的な現実に打ちひしがれ、悔しくなるのだ。

 

彼もまた、大恐慌という世界的な不況と怪我、そして年齢といういくつものハンデを負いながら、自分の人生と向き合う。男としてこの世界をどう生き、どう死ぬか。そんな健気で儚い、それでいて尊い一人のボクサー(戦う男)の物語である。