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『きみに読む物語』 レビュー(感想)と考察

きみに読む物語

ポスター画像出典:『映画.com

 

私はいつも『恋愛映画が嫌い』というのだが、実は洋画であまり嫌いな恋愛映画というものはないのだ。ただ、先日日本の恋愛映画を観たら思い出した。私が嫌いなのは『空想を煽る非現実的な恋愛ごっこ』だ。本音が飛び交わない、恋愛の綺麗な部分だけ、つまりうわべだけを切り取った真実味のないキュンキュン映画には、男の私が胸を躍らせることはできない。

 

いや、日本の恋愛映画すべてがNGというわけでもないのだが、『狭い』のだ。だが洋画の場合はターゲットが往々にして全世界だから、遠い異国の男性である私にも響く内容が詰め込まれている。もちろん、日本語だと『絶妙に腹が立つ言い方』などに細かく気づいてしまい、英語だとそれが一切わからずテキストだけで観るから、余計な考え方にむしばまれないということも関係しているかもしれない。

 

さて、この映画の恋愛はどうか。中々類まれな状況である。映画として相応しいインパクトとシナリオ、そして見応えがある。『キュンキュン映画』という狭い価値観を大きく超えた、『命の使い方』という深遠なテーマが、ここにある。