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『ザ・ダイバー』 レビュー(感想)と考察

『ザ・ダイバー』

ポスター画像出典:『映画.com

 

実在の人物「カール・ブラシア」(1931年-2006年)を描いた物語である。彼はアメリカ海軍史上、アフリカ系黒人として初めて『何か』をした潜水士であり、それを映画を楽しみながら観ていきたいわけである。彼の生年月日を見てわかるように、彼は黒人差別の真っただ中を生きた。例えば60~70年代というのは、多くの黒人指導者が亡くなったわけである。黒人の公民権運動家の代表格メドガー・エヴァースが暗殺されたのが1963年、マルコムXが暗殺されたのが1965年、キング牧師が暗殺されたのが1968年。ジョン・F・ケネディもその弟のロバート・ケネディも暗殺された。

その頃、ちょうど人類の視線は『地球の外』に向けられていた。『月面着陸』である。ソ連が打ち上げた衛星『スプートニク』を皮切りに、米ソの宇宙戦争が始まった。冷戦真っただ中でもあったその時期、より高い位置に行く技術を持っている国が強い。衛星写真や、ミサイルなどの設置や確保で優位性を得て、外交を有利に運ぶのである。そこには多くの資本家(大金持ち)たちも関与していただろう。

 

黒人問題もそうだ。白人至上主義(KKK)たちは黒人が世に出ることを許さない。黒人たちを暗殺する裏には往々にしてこういった人物たちの私利私欲、あるいは思想が関係している。カールもまた、潜水士という舞台でその『向かい風』を強く浴びてしまっていた。だが、彼は映画化されたのだ。一体彼の、何が稀有なポテンシャルだったのか。この映画は人種を超え、多くの人間に勇気を与えるだろう。