Contents|目次

『ノッティングヒルの恋人』 レビュー(感想)と考察

ノッティングヒルの恋人

ポスター画像出典:『映画.com

 

イギリスはロンドン西部のノッティング・ヒル。そこを舞台にした映画だ。イギリスの映画には往々にしてヒュー・グラント、あるいはコリン・ファースが活躍する。英国が誇る2大スターだ。彼は超一流なのにコメディからシリアスまで幅広く演じる。だからこういう役柄を担っても視聴者側は何も違和感なくそれを見ることができる。例えば日本なら木村拓哉が、『何をやってもキムタクだ』と言われるだろう。本人もそれを気にしているようだが、彼が大事にしているものが『プライド』ではなく『見栄』だと気づけば、彼はそうは言われなくなる。

 

ある時、タモリと中居正広の特別番組で、キムタクが桐谷健太と腕相撲をする状況があった。生放送的(かそれに近い放送)で彼は明らかに桐谷健太に負けそうになったが、あろうことか肘を浮かせて体重を乗っけて無理に勝利を掴むという執着心を見せた。彼はきっと(キムタクは負けちゃいけない)として、ファンをガッカリさせないようにやっただろう。背負うものも大きい。だがそれは『見栄』であり、真にプライドがある人間とは、自分の弱さ、無知を認め、それを人にさらし、無知の知を理解して日々謙虚さを軸にしながら勉強、探究を積み重ねていく人間のことである。

 

それが分かれば、彼は次のステージに行くだろう。彼は私よりもうんとタレントとして才能がある。だが、こと人間のことに関して言えば、それを勉強した人間が一枚上手となる。ヒュー・グラントたち超一流も、少し情けないこの手の男を見事に演じ切ることが一流の俳優だと理解している。そういう背景が、この映画の価値を引き上げている。

 

好きになった女性が高嶺の花。そういう状況に直面した時、常々自分の情けなさを自覚している自信のない人間が取るべき行動とは、一体どういう行動だろうか。フランスの作家プレヴォは言った。