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『us』 レビュー(感想)と考察

『us』

 

 

この監督の前作に『ゲット・アウト』というものがある。それはとても見応えのある内容だった。単なる人種差別の話ではなく、メッセージ性が高く、エンタメとしても面白いものがあった。今回、映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには459件のレビューがあり、批評家支持率は94%、平均点は10点満点で7.94点。サイト側による批評家の見解の要約サイト側による批評家の見解の要約は

 

「ジョーダン・ピール監督の第二作は野心的かつ斬新なホラー映画に仕上がっている。『アス』は「デビュー作で脚光を浴びても、2作目はパッとしない」というジンクスを打破したのである。」

 

ということだそうだ。だが、私の意見は真逆で、『デビュー作は素晴らしかったが、2作目はパッとしない』ものだった。映画評論のプロたちとこうも意見が真逆になることは珍しいが、それは私が『偏っている』ことが原因だろう。いや、私は実は偏りが嫌いな人間である。それは、クリスチャンの両親に育てられ、それを強要され、それを追従しなければ家を出ていくしかないとまで言われた私だからこそ、無宗教を貫き、それに徹底し、キリスト教系でやる妹の結婚式にすら行かなかった筋金入りで、偏らないことを徹底している、『という偏り』が、今回浮き彫りになったのではないだろうか。

 

三島由紀夫は言った。

 

私はホラー映画を観ない。ホラーを映画として観ていないのだ。時間の無駄だと考えている。私も10代にはよく観た。むしろ、その手の映画がメインだった。そしてそれを女性とイチャイチャする道具として使ったり、ケラケラ悪友と笑いながら、馬鹿にするかのように眺めていたのである。

 

得たものは何もない。人が簡単に死に、肉体がバラバラになる姿を見て『ゾクゾクする』とヘラついた顔で言うような奴は、SNSでも即ブロックすることになる。私の人生がそういう『中途半端』な人間と違って、ホラー映画顔負けの波乱に満ちたものだったということも関係しているかもしれない。『笑えない』のだ。堕ちるところまで堕ちた人間は。

 

そして、人生の最深部に堕ちた人間は、上を見上げるしかない。最上部にいるのは、『四聖』と言われる儒教の始祖『孔子』、キリスト教の礎『イエス・キリスト』、仏教の開祖『釈迦』、古代ギリシャの哲学者『ソクラテス』の、四名の歴史的賢人である。彼らの教えを見て、人生の真理を理解した人間は、ホラー映画などで時間を『浪費』する時間はないと悟るのである。

 

その『偏り』が、私をこの『ホラー映画』に徹したusという映画を、低く評価したのだ。

 

 

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