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『17歳の肖像』 レビュー(感想)と考察

17歳の肖像

ポスター画像出典:『ヤフー映画

 

主演のキャリーマリガンは、この時23歳。とてもキュートで17歳と言われても文句は出ない美貌を持っている。だが、実は現在(35歳)の彼女の写真を見ると、あまり当時のように素直にはそう言えない劣化が起きてしまっている。これは悪口でも何でもない。ただ写真写りが悪い人というだけなのかもしれない。だが、何十枚と写真を見つけたが、この時の彼女を超える写真はなかった。

 

酷な話だが、あのオードリー・ヘップバーンでさえ20代の写真しか注目が集まらない。彼女とて、年を取ってからも活躍していたし、その時の写真もある。だが、人々が目を向けるのはどうしても最盛期。それが現実だ。逆に言えば、若者はその事実を利用して、若い時にしかできないことをすれば利益を得られる。そのように考えるのが賢明だろう。

 

キャリーマリガンのその後の作品は、ドライヴ、華麗なるギャツビーといくつかあるが、それも含めてそれ以外の代表作を、ファンではないあなたがどれだけ言えるだろうか。しかし、確かにキュートな彼女がいて、その時に作り上げた作品がある。そこにぜひとも注目をしたいのである。私とて、そして誰もが、若い時にしかできないことがある。アスリートは30歳になれば多くの人が引退を余儀なくされるように。

 

さて、主人公の彼女はタイトル通り17歳。しかし、まずは16歳から物語が始まる。これを冷静に考えるとちょっと気持ち悪い。『ロリータ』という、この世に『ロリコン 』という言葉を捻出した作品があるが、『愛を読むひと』同様、これも正直ギリギリのロリコン話である。ピーターサースガードがその気持ち悪い男役をはまり役として演じ切っている。彼のうつろな目は変態にピッタリだ。言い方は悪いが、何を考えているか分からない目をしているので、彼が演じられる役は多い。その意味でとても有能と言えるだろう。彼の活躍ならよく見かけるのである。

 

では、その変態野郎にキュートな16歳がどのような目に遭ってしまうのか。誰もが少年少女時代には、一日でも早く大人になりたいと願い、子供扱いされるのを嫌がる。大人扱いをしてもらいたいのである。

 

サルトルは言った。

『青春とは、奇妙なものだ。外部は赤く輝いているが、内部ではなにも感じられないのだ。』

 

大人はその逆で、一歳でも若く見られると気分がいい。これは、10代のうちに観ておきたい、無知な青春時代の教訓である。

 

 

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