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『ユダヤ人を救った動物園 〜アントニーナが愛した命〜』 レビュー(感想)と考察

ユダヤ人を救った動物園 〜アントニーナが愛した命〜

ポスター画像出典:『映画.com

 

アントニーナ・ジャビンスカという実在した女性がモデルになっている。第二次世界大戦のあの時期にユダヤ人がどのような目に遭うか。それを知るのは簡単なことである。それだけ世界的に有名なのだ。日本の広島、長崎が有名であるくらい、ユダヤ人がこの時に受けたホロコースト(ユダヤ人迫害)の歴史というのはあまりにも凄惨なものだった。しかも舞台はワルシャワ。ポーランドである。第二次世界大戦というのは、ヒトラー率いるナチスドイツが、隣国であるこのポーランドに侵攻(1939年)して開幕したに等しい。その悲惨かつ緊迫のエリアでユダヤ人を助けるというのはどれほどのリスクがあるか。

 

すぐ近くには強制収容所があり、そこではユダヤ人たちが人間の尊厳を完全に奪われ、人体実験の道具として『使用』された。スープを飲んでいると隣の窓に、朝話をしていたはずの顔見知りが死体として外に積み上げられているのが見える。だが、囚人はスープを飲む。生きる為に数少ない食事を食べなければならないからだ。子供が壊死した足の指をペンチで引っこ抜き、自分たちの糞便を運んでいる最中にそれが飛び散り、思わず顔を拭くと殴られる。

 

なぜお前は人間のふりをしているんだ

 

これが彼らユダヤ人たちが味わった地獄の経験である。その強制収容所からほど近いワルシャワで、いくら動物園という『穴場』だからといって彼らをかくまうのは背筋が凍るほど怖い。果たして、彼女たち動物園のスタッフたちは、本当にユダヤ人を救えるのだろうか。誰も死者は出ないのだろうか。

 

 

 

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