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『ウォール街(ストリート)』 レビュー(感想)と考察

『ウォール街』

ポスター画像出典:『映画.com

 

『ウォール街』

ゴードン・ゲッコーの圧倒的存在感が世界中に大きなインパクトを与えた。特にアメリカでは彼に憧れて投資業界に入る者が続出したという。監督は倫理が崩れたことについて遺憾の意を述べたが、スタンリー・キューブリックはこう言っている。

 

彼も『時計仕掛けのオレンジ』の宣伝コピーを、『レイプとウルトラ暴力とベートーベンがオレの生きがい。』というセンセーショナルなものに作り上げ、多くの批判の声が上がった。この映画に触発され、犯罪に走る若者が増えたのだ。

 

『ウォール・ストリート』

1987年の映画『ウォール街』の続編。注目するべきはこの映画が2010年の映画ということだ。23年という時間が経って金融市場はどのように変化があったか。そしてその間に起きたサブプライムローン問題(2007年)はこの映画にどう影響を及ぼすか。だが、最も注目したいのは『チューリップバブル』というキーワードだ。

 

経済学の巨人と言われたガルブレイスは、1636年のチューリップ狂の経験以来、 何も変わらないある法則を見極め、こう言っていた。著書『バブルの物語』にはこうある。

『個人も機関も、富の増大から得られるすばらしい満足感のとりこになる。これには自分の洞察力がすぐれているからだという幻想がつきものなのであるが、この幻想は、自分および他の人の知性は金の所有と密接に歩調をそろえて進んでいるという一般的な受け止め方によって守られている。』

 

このチューリップバブルの話が作中に登場する。ゲッコーの家にこれを記載した張り紙があるのだ。その意味で、非常に教訓性の高い内容となっている。