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『しあわせの絵の具 / 愛を描く人 モード・ルイス』 レビュー(感想)と考察

『しあわせの絵の具 / 愛を描く人 モード・ルイス』

ポスター画像出典:『映画.com

 

主人公となる女性のモード・ルイス(1903年3月7日-1970年7月30日)とはカナダのフォークアートの画家である。この映画の主人公は絶世の美女というわけでもないし、活動拠点も小ぢんまりした小さな小屋で、見る人が見ればとても地味な作品となる。相棒となるイーサンホークも『渋い俳優』の演技派として有名だが、彼がトムクルーズのようにど真ん中で活躍するような映画は今はもうなく、近年の映画も『渋い映画』を確実にこなす、という傾向が見られている。

 

更に、そのような要素がある中でこの映画でのイーサンホークは、冒頭でかなり正確の悪い男を演じる。したがって我々は、Wikipediaにも詳細ページがないようなこの映画で、カナダのなんたらという地味な女性を、地味な顔の女性が気が小さそうに演じ、それをいじめるイーサンホークの姿を見なければならない。正直、映画鑑賞中につまらないと思ったら帰ってしまうような文化がある国では、もはや冒頭の段階でほとんどの人がいなくなってしまうのではないだろうか。

 

・・だがとんでもない。騙されたと思って最後まで観るのだ。私は多くの映画を観て、それをジャンル別に分けてランキングしたり、とにかく人や自分が見やすいようにまとめているが、その中で『感動編』のジャンルに組み込まれる映画はそう多くはない。100個もないだろう。だが、この映画はそこに分別されたのだ。そう。我々は冒頭の段階からすでに、彼らの術中にハマっていたのだ。