ポスター画像出典:『映画.com』
『きみがぼくを見つけた日』の感想で、無理があると書いた。この手のシナリオは技術がいるとして、『千と千尋の神隠し』の成功と『メアリと魔女の花』の大失敗について書いた。要は、あんなことはあり得ないわけだ。そういうフィクションたるファンタジーを、いかに現実を生きる我々が無理なく
なんかありえそう・・
と感じられるかは、監督の腕にかかっている。『なぜこのような不思議な現象が起きてしまったのか』ということをもっと明確に視聴者に伝える必要がある。それを考えた時、その映画は少し無理がある。『未来のミライ』然り、なぜそういう現象が起きるのかをきちんと分かるように説明してくれないと、視聴者が置いてけぼりになる。
ではこの映画はどうか。この場合、その問題を上手く解決していると言えるだろう。『声のタイムスリップ』という現象。無線機からかすかに聞こえる声は、『どんな周波数をキャッチするか分からない』というその要素を上手く突いたシナリオである。更にこの時、太陽フレアの活発化(太陽嵐)の影響により、ニューヨークでは異常気象によるオーロラが観測されていた。そういう非日常的な状況もいい。これなら何かが起こりそうだ。宇宙といういまだ特定不能のフロンティア(未開拓エリア)の圧倒的な潜在能力も手伝って、このような現象があってもおかしくはないと受け取れるのである。
だからこそ、物語にすんなりと入っていける。私は久しぶりに次の展開を楽しみにするワクワク感を覚えた。そして、この卓越した緊迫のシナリオを見て、(これはゲーム化されてもおかしくはない)という感想まで抱いた。
一体どうなる?何が真相なんだ!
私は素晴らしい映画に出会ったのだ。