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『愛と哀しみの果て』 レビュー(感想)と考察

愛と哀しみの果て

ポスター画像出典:『映画.com

 

2009年まで、デンマークの50クローネ紙幣に肖像が使われていた女性、カレン・ブリクセン。ペンネームは『イサク・ディーネセンもしくはアイザック・ディネーセン』である。その彼女が主人公の映画だ。この映画が名作な理由は、

 

  1. 一国の紙幣に使われるような人間の話であること
  2. 実際にその人生が波乱に満ちていたこと
  3. メリルストリープとロバートレッドフォードという二大スターが共演していること

 

などの要素が挙げられるわけである。内容も中々哲学的である。ロバートレッドフォードが演じる男の説明をWikipediaから引用してみよう。

デニスは、ぜいたく・所有・肩書きといったヨーロッパの習慣よりも、雄大な土地で牧畜生活を営むマサイ族の自由で素朴なアフリカを好んでいた。デニスはカレンの家に移ってきたが、カレンの、物や人までも「所有」したいという欲望を批判し、結婚することも自由な生き方をやめることも拒否し、ただ一枚の紙切れに過ぎない結婚が、デニスの彼女への愛を増やすことにはならない、と話す。

 

そう。波乱に満ちた人生を送る彼女だが、実際には彼女というよりは彼女が生きた『第一次世界大戦』が起きた時代、ケニア(アフリカ)という無限の可能性を持つ広大場所、そしてこの男が持つ一つの哲学的な思想が、中々興味深いのである。

 

彼女は元々、裕福な身の出身だ。周りに貴族がいることが普通。そして、人生に違和感を覚えて何かを求めてアフリカに。そこで出会ったのが、自分の人生に足りない内科を持っていそうなデニスという男だった。彼の主体的な人生は『自由』なのか。人はどのようにして生きるのが本当の生き方なのか。彼女たちが生活したアフリカの空のように広漠とした大きなテーマが、彼女の人間としての位と格式を引き上げていく。