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『ワイルドガン』 レビュー(感想)と考察

『ワイルドガン』

ポスター画像出典:『Amazon

 

この映画はヤフー映画などで★3とかいう低評価がついているが、まずはこれを聞いてほしい。

 

  1. ドナルドサザーランドとキーファーサザーランドの親子が共演している
  2. ドナルドはキーファーが演じる『24』でジャック・バウアーの父親役としての出演を依頼した際、『インディ・ジョーンズ』シリーズにおけるショーン・コネリーとハリソン・フォードのような親子関係ならOKだと答えたが、息子を殺そうとする役だと聞いて断った
  3. 親子共演は恐らくこれが最初で最後 ・ドナルドは三船敏郎の大ファン
  4. 原題は『Forsaken(見捨てられた)』
  5. アメリカ人にとっての『七人の侍』の代替は西部のガンマン

 

今カリフォルニアとかLAとかがあるアメリカの西部は昔荒野だった。そこを開拓して金を掘り当て、鉄道を通して、なんてしながらアメリカを作っていった。 BTTF3で戻った過去の時代がそれだ。なぜ侍=ガンマンかっていうと、侍がこの世に登場したのは『自警団』としてだった。そしてガンマンも同じだ。保安官が真っ当な仕事をするまで、警察が配備されるまで、カウボーイハットの正義を守る自警団がアメリカを守ったのだ。

 

ドナルドはもう85歳で長くない。それで息子との共演をするってなって、三船敏郎が出た『七人の侍』みたいな、彼が憧れたそういう正義の光の届かないところで秩序を守る正義のガンマンみたいな、そういう映画で共演出来たら、きっと最高の思い出になるし、何度見返しても感慨に浸れるって思ったはずなのだ。

 

この映画の原題は『Forsaken(見捨てられた)』。作中にも『神に見捨てられた。俺は南北戦争で多くの人が無意味に死ぬのを見た』というシーンがあって、それも奥がとっても深い。 牧師であるドナルド役の父が息子に神をさとす。でも、悪人が人を殺して秩序を乱す。誰かがやらなきゃいけない。一人死に、二人死んでいく。そんな『神に見捨てられた土地』で『男』がやるべきことはなんなのか。 こんなことを総合的に考えた時、少なくとも彼ら親子からすれば、最高の映画なのだ。最後の哀愁あるエンディングも最高だった。

 

『ワイルドガン』。これは、映画に恋をし、映画に生きた二人のアメリカ人が、日本の武士道精神に敬意を持って作った、最高の作品だ。(多分)