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『ドライビング Miss デイジー』 レビュー(感想)と考察

ドライビング Miss デイジー

ポスター画像出典:『映画.com

 

1940~70年代のアメリカを描いた映画で、やはりその話の節々には黒人差別問題が展開される。だが、南部では黒人だけではなくユダヤ人も迫害の対象で、KKK(白人至上主義)が集会所を襲撃するなど、そういう当時頻発した悲惨な出来事を交えて、モーガン・フリーマン演じる黒人運転手と、高齢のその雇い主である老婆の奇妙な関係が描かれていく。

この時代だから、キング牧師の話も出てくる。彼の説教を聞こうというのだ。主人公のデイジーは意固地な見栄っ張りだが、人種差別をするような人間ではなかった。その根幹にある優しい心は、運転手の男の誠実な心とリンクしていた。性格がゆえにそれが中々表面化されないが、晩年を迎える時、彼らの真の絆が明らかになるのだ。

 

アメリカは難しい時代だった。それに加え、彼らのような人間同士は水と油のように絡み合うことは自然ではなかった。そんな難しいシビアでリアルな現実が、この奇妙な二人の関係の絆の希少さを、盛り上げてくれるのである。