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『アギーレ/神の怒り』 レビュー(感想)と考察

アギーレ/神の怒り

ポスター画像出典:『映画.com

 

2005年にタイム誌が選ぶ歴代映画ベスト100に選出されたが、この映画にハリウッド映画のようなエンターテインメント性を期待しない方がいい。そうではなく、歴史的な一コマとして貴重なのである。ピサロがインカ帝国を、コルテスがアステカ王国を滅ぼし、スペインとポルトガルは南アメリカ大陸を支配した。コンキスタドール(征服者)である。ヨーロッパを中心に考えれば『コロンブスがアメリカ大陸を発見した』わけだが、発見も何も、インド人と間違われて名前をつけられたインディアン(先住民)たちからすれば、そこに最初から住んでいたのだ。したがって、ある場面を切り取ればインディアンたちは『君たちこそが本当のアメリカ人だ』と、アメリカ国民から言われることもあるのである。

 

インディアンたちがコンキスタドールたちによって滅ぼされていく中で、人々はアマゾンの奥地に『黄金郷・エルドラド』の伝説を耳にすることになった。ピサロは、ペルーの高地で消息を絶っていて、益々その神秘性に野心家たちは夢を抱いた。実は、このエルドラドを夢見て生涯を冒険に費やした人物がいる。パーシー・ハリソン・フォーセット、イギリスの軍人である彼は、あの『インディ・ジョーンズ』のモデルになった男だ。それはまた違う話である。