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『戦争と平和』 レビュー(感想)と考察

戦争と平和

ポスター画像出典:『Amazon.co.jp

 

私が観たのは最新のドラマの方だが、オードリー・ヘプバーンの方を見たかったという本音もある。1805年のロシアは、まさにナポレオン戦争の真っ最中にあり、その時代を生きたロシアの人々のドロドロとした壮絶な人間ドラマが繰り広げられる。正直、最後まで観なければこの映画の真価は分からない。そこに至るまでに、何度もロシアの辛気臭くて暗いイメージを突き付けられた気がして、挫折したくなる。

 

だが、そこはトルストイだ。それすらも演出なのである。これは、単なる戦争の一コマを描いた映画というわけではなく、戦争という渦中でこれだけの群像劇が書けるというメッセージでもある。人が簡単に命を落とす地獄のような時代の中で、その一人一人にこうも濃厚なドラマがあるのだと。そういうメタメッセージ(暗に込められたメッセージ)が聞こえてくるのである。この映画からは、戦争に対する徹底的な批判と、『それでも決して戦争体験を無駄にしない』という、人間の矜持を感じた。

 

 

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