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『父親たちの星条旗』 レビュー(感想)と考察

父親たちの星条旗

ポスター画像出典:『映画.com

 

第二次世界大戦における硫黄島の戦いを日米双方の視点から描いた「硫黄島プロジェクト」のアメリカ側視点の作品。アメリカは、この硫黄島での戦いが、第二次世界大戦において最大の人的被害を被る戦いだった。すり鉢山を攻略することは、日露戦争で言う『二百三高地(旅順)』の攻略に等しく、ここを制覇することはこの島を制覇することに繋がる。しかし、日本人はそこを死守する。アメリカ軍も命を賭して前進する。実は、アメリカには全くお金がなかった。1929年に起きた世界恐慌以来、アメリカは金策に躍起にならなければならなかった。

 

アメリカ側のそうした事情を踏まえて真実を直視したとき、硫黄島に立てられたアメリカの星条旗は決して『英雄』の手によって建てられたのではなかった。戦争に勝った戦勝国に課せられた、内省すべきテーマがここにある。